倉庫業とは
倉庫業は、「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」と倉庫業法で定義されております。つまり、荷主から物品を預かり、預かった物品の滅失や毀損を防ぎ、預かった時点の状態を維持して保管することに対して、対価を得る営業が倉庫業に該当します。
倉庫業は、国民生活を支える公共性の高い産業のため、倉庫業を営む者は国土交通大臣の登録を受ける必要があります。
倉庫業に該当しない事例
物品の寄託を受けたり、保管を行っている場合でも、倉庫業に該当しない場合があります。
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物品の寄託に該当しないもの
イ)運送契約に基づき貨物の一時保管
例:港湾運送事業での上屋を使用した一時保管
貨物運送事業での保管庫を使用した一時保管ロ)消費寄託
例:預金ハ)修理等の役務のための保管
ニ)自家保管
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営業に該当しないもの
イ)農業倉庫
ロ)協同組合の組合員を対象とした保管事業
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政令で除外されているもの
イ)保護預かり
例:銀行の貸金庫ロ)製造・加工・修理・洗濯などの役務の終了後に付随して行われる営業
例:クリーニング業者が、洗濯後に顧客に引き渡すまでの保管
物品を製造する業者が、顧客に引き渡しまでの保管ハ)外出時の携行品の一時預かり
例:コインロッカーや手荷物預かり所での保管ニ)自動車、自転車の保管
例:駐車場、駐輪場 -
他人の物品の収納のための不動産賃貸行為
不動産業として賃貸借契約を締結し、貸倉庫を貸付ける行為は、倉庫業には該当しません。
無登録業者の営業禁止
倉庫業を営むには国土交通大臣の登録を受けなければなりません。無登録営業は倉庫業法違反として罰せられますので、ご注意ください。
- 無登録業者が、倉庫業を営業
→1年以下の懲役 もしくは 100万円以下の罰金 - 無登録業者が、倉庫業を行うものであると人を誤認させるような表示、広告を行った場合
→50万円以下の罰金
営業用倉庫の種類
倉庫業法では、保管可能物品を8種類に分類しております。また、保管可能物品の種類により、営業用倉庫を8種類に分類されます。倉庫の種類により、登録申請時に要求される倉庫の施設基準が異なります。
■ 保管可能物品
第一類物品 | 第二類、第三類、第四類、第五類、第六類、第七類、第八類以外の物品 |
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第二類物品 | 麦、でん粉、ふすま、飼料、塩、野菜類、果実類、水産物の乾品及び塩蔵品、皮革、肥料、鉄製品その他の金物製品、セメント、石こう、白墨、わら工品、石綿及び石綿製品 |
第三類物品 | 板ガラス、ガラス管、ガラス器、陶磁器、タイル、ほうろう引容器、木炭、パテ、貝がら、海綿、農業用機械、その他素材及び用途がこれらに類する物品であって湿気や気温の変化により変質し難いもの |
第四類物品 | 地金、銑鉄、鉄材、鉛管、鉛板、ケーブル、セメント製品、鉱物及び土石、自動車及び車両(構造上主要部分が被覆されているものに限る)、木材(合板及び化粧材は除く)、ドラム缶に入れた物品、空コンテナ、空ビン類、れんが、かわら類、がい子、がい管類、土管類、くず鉄、くずガラス、古タイヤ類、その他野積で保管することが可能な物品 |
第五類物品 | 原木等水面において保管することが可能な物品 |
第六類物品 | 容器に入れていない粉状及び液状の物品 |
第七類物品 | 消防法第2条の危険物及び高圧ガス取締法第2条の高圧ガス |
第八類物品 | 農畜産物の生鮮品及び凍結品等の加工品、その他摂氏10℃以下の温度で保管することが適当な物品 |
■ 倉庫の種類
一類 倉庫 |
二類 倉庫 |
三類 倉庫 |
野積 倉庫 |
貯蔵槽 倉庫 |
危険品 倉庫 |
冷蔵 倉庫 |
水面 倉庫 |
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第一類 物 品 |
○ | × | × | × | ○ ※2 |
× | × | × |
第二類 物 品 |
○ | ○ | × | × | ○ ※2 |
× | × | × |
第三類 物 品 |
○ ※1 |
○ ※1 |
○ | × | × | × | × | × |
第四類 物 品 |
○ ※1 |
○ ※1 |
○ | ○ | × | × | × | × |
第五類 物 品 |
○ | ○ | ○ | ○ | × | × | × | ○ |
第六類 物 品 |
○ ※1 |
○ ※1 |
× | × | ○ | × | × | × |
第七類 物 品 |
× | × | × | × | × | ○ | × | × |
第八類 物 品 |
× | × | × | × | × | × | ○ | × |
※1:第七類物品を除く
※2:ばらの物品に限る
倉庫管理主任者
倉庫業者は、倉庫の火災予防や適切な管理のために、管理すべき倉庫の規模に応じて、倉庫に倉庫管理主任者を選任する必要があります。倉庫管理主任者の選任は、倉庫業登録の要件のひとつです。
倉庫管理主任者の配置基準
倉庫業者は、原則、倉庫ごとに一人の倉庫管理主任者を設置する必要があります。
但し、以下の倉庫にあっては、同一の者をもって当該倉庫に係る倉庫管理主任者とすることができます。
- 同一敷地内に設けられている倉庫その他の機能上一体とみなされる複数の倉庫
- 同一営業所が直接管理している複数の倉庫(同一都道府県の区域内に存在するものに限る)で、それらの面積合計(認定トランクルームを除く)が1万m²以下
倉庫管理主任者の要件
倉庫管理主任者になれる者は、以下のいずれかに該当する者です。
- 営業用倉庫の管理業務に関して、2年以上の指導監督的実務経験を有する者
- 営業用倉庫の管理業務に関して、3年以上の実務経験を有する者
- 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
- 国土交通大臣が1から3までに掲げる者と同等以上の知識、能力を有すると認められる者
上記3の講習は、一般社団法人日本倉庫協会が実施しております。開催日・開催場所などの詳細は日本倉庫協会のHPをご覧ください。
倉庫管理主任者の欠格事由
倉庫管理主任者の要件を満たしていても、以下のいずれかの欠格事由に該当する場合は、倉庫管理主任者になることはできません。
- 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 法第21条の規定による登録の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者
倉庫管理主任者の職務
倉庫管理主任者の職務は、大きく分けて二つに分類されます。
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以下のイ)~ハ)の業務についてマニュアル等を作成して一定の方向付けを行うとともに、その方向付に基づき業務の実施状況の監督を行う。
イ)倉庫における火災の防止その他倉庫の施設の管理に関すること
倉庫のハード面から行われる管理業務。具体的には、倉庫建物の日々のメンテナンス業務や火災等の事故予防業務です。ロ)倉庫管理業務の適正な運営の確保に関すること
倉庫のソフト面から行われる管理業務。具体的には、倉庫における保管、荷役業務の管理です。但し、料金設定や経営に関することは、除かれます。ハ)労働災害の防止に関すること
倉庫の荷役業務に従事する労働者の労働災害防止のために行われる業務 -
現場従業員の研修を企画し、実施する。
上記1に定める業務を円滑に行うために、現場従業員を対象に研修を企画し、実施する。