民泊とは?
旅館業許可を受けているホテル、旅館、簡易宿泊所ではない一般個人の空部屋などに宿泊することを民泊といいます。
訪日外国人増加による宿泊客増加、インターネットマッチングサイトなどが広まるとともに、民泊ニーズは高まっています。特に首都圏、関西圏などを中心に宿泊施設が不足している現状、空き家が全国的に増加しているといった現状を踏まえ、不動産活用の新しいモデルとしても注目されています。
民泊の今までの取り扱い
現在のところ日本では宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業を行うためには、原則、旅館業の許可が必要です。
旅館業の規制と民泊
旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。
つまり有料で宿泊させる営業を継続して行うためには、旅館業の許可が必要であり、ホテル、旅館、簡易宿泊所といった旅館業の許可をうけた施設でしか旅館業を行うことができません。
民泊は、「旅館業許可を受けていない個人宅、マンションの一室などを宿泊施設として提供し、宿泊料をうけとる」という内容であり、旅館業の定義に照らし合わせると、旅館業許可が必要ということになります。
つまり旅館業許可なく民泊を行うのは、旅館業法違反になるというのが現状の取り扱いです。
しかし旅館業の許可を受けるためには、旅館業の許可要件である防火設備や建物構造、衛生基準などについて一定の基準を満たしている必要があり、普通の戸建住宅やマンションの一室などでは、これらの要件を満たすことができないため、旅館業の許可を受けることはできない場合がほとんどです。
つまり、個人の戸建、マンション等で民泊を行うことは、旅館業の許可が取れないため、事実上行うことができないというのが今までの取り扱いでした。
民泊ができるようになった(旅館業法の規制が緩和された)背景
国家戦略特別特区の一部のエリアで、旅館業法の規制が緩和され民泊が制度として活用できるようになった背景は以下の通りです。
- 国策による外国人観光客の増加政策により、外国人観光客が年々増加しており、
都心部を中心に宿泊施設が足りなくなっている。 - 2020年の東京オリンピック開催を控え、都心部での宿泊施設の不足が深刻な問題にな
ることが予想されている。 - 人口減少問題があり、空き家問題が将来的に顕在化してくる可能性がある
こういった問題を解消するために、旅館業を行うことができない個人宅の空き部屋やマンションの空き室でも旅館業法の規制を緩和し、宿泊所として利用できるようにしようというのが、民泊ができるようになった背景です。
民泊が可能になった仕組み
- 政府は平成27年4月、指定した「国家戦略特区」で旅館業法の規制を緩和する政令を
施行し、国家戦略特区に限り、ホテルや旅館に課される安全・衛生基準の規制を部分的に緩め、家やマンションの一室を貸し出せる「民泊」を可能にしました。
「特区」の対象は「東京圏」(東京都、神奈川県、千葉県成田市)と「関西圏」(大阪府、兵庫県、京都府)で、詳細な規定については自治体ごとに条例を制定する必要があります。
- 1を受け、現在のところ大阪市、東京都大田区で条例が制定され民泊ができる制度が整いました。
(大田区は平成28年1月に条例施行、大阪市は平成28年4月頃予定、それ以外のエリアは未定)
民泊の今後の取り扱い
平成28年より、国家戦略特区の一部のエリアにて民泊が合法的に行えるようになりますが、国はこの特区民泊は別の制度として、民泊を旅館業法で定める「簡易宿所」と位置付けた上で、サービスの提供者に営業許可を取得させ、特区以外でも民泊を行えるような仕組みを検討しています。
なお、現在の旅館業法の簡易宿所の許可基準では、普通の一軒屋やマンションの一室では、簡易宿所の基準を満たすことができないため、現在の許可基準を緩和することになるようです。
この仕組みができれば、将来的には特区以外のエリアでも民泊が合法的に行えるようになる可能性があります。
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